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~ 不確実な時代に、確かな基軸をもつ経営をおこなうために ~

組織が変わるとき2019年04月09日 16:45

  純水が摂氏零度で凍ることは、よく知られている。容器に入れた水を冷やしていけば、摂氏零度を境に水から氷に変化するわけだ。誤解を恐れずに言ってしまえば、氷というのはまるで軍隊のように整然と並んでいる状態(各々の位置で分子は貧乏ゆすりのように震えているけれど)。それに対して水というのは小集団の子分どもを引き連れながら、ある程度自由に動き回っている状態だ。ついでに言えば、水蒸気になると子分どもからも自由になり、各分子が完全に自由に飛び回っている状態である。つまり水から氷への変化というのは、質的に異なる状態への変化なのだ。物理学では、この変化を相転移という。

  ところで、水から氷へはどのように変化していくのだろうか。摂氏零度になったからといって、いっせいに氷になるわけではない。それは冷凍庫に入れた金属製製氷皿を観察すれば、すぐ分かるだろう。完全に氷になる前に取り出せば、周囲は氷になっているが、その中はまだシャーベット状になっているはずだ。外部から冷やされれば、外部や(水より先に冷える)金属面に接している部分から氷になっていくのは当然。興味深いのは、シャーベット状である中身である。

  まず外側が氷になり、次には氷に接している水が凍り、さらにはその内側が・・・という風に中心に向かって秩序よく凍っていくわけではないことが観察されよう。内部は、あくまでシャーベット状、つまり小さな薄い氷と水とが同居した状態なのだ。このときの内部の温度は、やはり摂氏零度。では摂氏零度で何が起こっているのか。

  摂氏零度では、ある一部は氷になり、その他はまだ水のままなのだ。されに冷やしていくと、まだ水だった部分の一部が氷になる。つまり氷の割合が増加する。やや固めのシャーベット状になるだけだから、温度は摂氏零度のままだ。もっと冷やしていくとさらに氷部分が増加し、やがてはすべてが氷に変化する。この過程が終了するまで、どんなに冷やしても摂氏零度のままだ。

  つまり変化はいっせいに起こるわけではなく、時間をかけて徐々に起こる。興味深いのは「過冷却」という現象である。ペットボトルなどに入れた水を、静かにきわめてゆっくりと冷やしていくと、摂氏零度になっても氷にならない現象のことだ。このとき外部からちょっとした刺激(軽く叩くなど)を与えると、いっせいに氷になる(実験は危険を伴う可能性がありますから安易に行なわないように。急激に膨張するので。)。まるで水分子が「え?  零度になったのに誰も氷になろうとしないじゃないか」と互いに見合って誰も動かずにいるかのようである。そこに軽い刺激が加わると「ほら、やっぱり氷にならなければ」と各分子がいっせいに整然と並ぶかのようである。

  これは外部環境の変化と各分子の相互作用の結果であって、水かどうかはあまり関係しない。同じことは融解(氷から水への変化)でも起こるし、気化(水から水蒸気への変化)でも起こる。すべては外部環境の変化に適応しようとする動きと、各メンバーの相互作用との結果なのだ。だとすれば組織も基本的には同じではないのか。

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