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正しく恐れる(3)2020年04月03日 16:24

 以上みてきた日本の現状を踏まえて、どのように「正しく恐れ」ればいいのか考察してみよう。

 まず今回のウィルス騒動を理解するキーワードは 時間 であることに注意しよう。
 新型コロナウィルスの特徴として感染が速いことが挙げられる。これは感染力が強いということとは異なる。感染力が強いというのは、一人の感染者のたとえば半径1m以内に立ち入ったら必ず感染するというということを意味する。今回はけっしてそうではあるまい。もし感染力が強ければ、クラスターに立ち入った全員が感染しているはずである。実際に起こっていることは、感染しても発症しない人や潜伏期間中の人が存在し、本人もそれと知らずのうちに他者を感染してしまう現象だ。そのため誰にも知れずに感染が拡大する。いわばステルス型感染だ。10日ほど経過して誰かが発症したときには、すでに多くの人が感染してしまっている。これが「速い」ことのメカニズムだろう。
 また治療プロセスにボトルネックが存在する。それは感染者用ベッド数である。一つのベッドを占有すると治療が完了(退院できる、または死亡する)まで、仮に平均14日必要だったとしよう。もし14日ごとに要治療者があらわれるならベッドが不足することはない(わかりやすさのため統計的記述は無視する)。それ以上の頻度で要治療者が出てくれば、当然ベッドは不足することになる。(ボトルネックの直前に仕掛在庫が過剰に存在するのは、製造業の常識だ。)
 したがって今回のウィルス騒動を鎮静化させるためには、いかにボトルネックをコントロールするかにかかっている。これは、ある種の流体力学の問題なのだ。

 解決策を考える前に押さえておくべき重要事項がある。それはゴールをどのように設定するかである。ゴールが曖昧なままだと、実効性ある解決策を考えることはできない。
 まず「感染を止める(新たな感染者を出さない)」というゴール設定について考えてみよう。今回のウィルスがステルス型感染をする以上、感染を完全に止めることは困難だ。やろうと思えば、ものすごいリスク(経済へのダメージなど)と、ものすごいコストとが必要になるため、現実的ゴールとは言い難い。
 そこで「感染による死亡者を出さない」というゴール設定が現実的だと思われる。この場合、感染者は一時増えるかもしれない。しかし新型コロナウィルスは、感染者の8割程度は無症状または軽症(ひどい風邪程度)と言われている。そのため、このゴール設定においては、いかに要治療者を完治させるかが解決策の要点となる。しかも(無症状者および軽症者を含めて)完治した人は、このウィルスに対する免疫をもつことになるため、やがては感染者を減らすことが可能になろう。

 以上を確認すれば、解決に向けて、何を恐れて、どのような行動を取ればいいのかについて考えることが可能になる。それは次回。

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