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正しく恐れる(4)2020年04月03日 22:50

 新型コロナウィルスの特徴、日本における現状と(理由はわからないが)特異性を押さえたうえで、どのようにすれば感染後の死亡者を極小化できるかについて考えよう。解決策として考えられるオプション(選択肢)は次の3つだ。
 A 放置
 B 適度な行動規制(自粛要請など社会距離戦略)
 C 完全な行動規制(都市封鎖、外出禁止など隔離策)
 ところでワシントン・ポストが提供するサイト(こちら)で、簡単なシミュレーション・モデルではあるけれど、感染が拡大していく様子をわかりやすく理解することができる。これを参考にしながら考察を進めることにしよう。

 まずA(放置)の場合、治療薬やワクチンが開発されなければ、いずれ全員が感染することで終息する。このうちの一定割合は死亡し、残りは免疫を獲得するため同じウィルスによる再発は起こらないだろう。しかし感染の速さを考えれば、要治療者が爆発的に増加して、いずれ医療崩壊が発生する。放置を続ければ、感染に対する不安と政治に対する不信とから社会システムの機能不全となりかねない。暴動さえ起こりかねないだろう。
 ではB(社会距離戦略)の場合はどうだろうか。シミュレーションでわかるように、この場合も感染者は増加する。しかし感染拡大速度を抑制することが可能だ。それは要治療者数の増加を抑制することが可能なことを意味する。これなら医療崩壊を避けることができる。密集・密室・密着を避けるということは、自分が感染しないという以上に、感染者の増加を抑制するという意味があるのだ。なぜなら今回のウィルスの特徴から、自分が感染していないことは保証されないからだ。
 最後にC(隔離策)も検討しておこう。シミュレーションでわかるように、ほんのわずかでも抜け道があれば、規制の意味はなくなってしまう。そしてサイトで指摘されているように、社会生活の中で、完全完璧な隔離は不可能だ。

 以上で検討したようにB(社会距離戦略)が、もっとも現実的な方策だ。しかし諸外国では都市封鎖や外出禁止などの隔離策を取っている。これはなぜか。おそらくは感染現象の立ち上がりが急激すぎ、当面の感染拡大を防ぎ医療体制を確保するためだと思われる。シミュレーションでも、非感染領域が感染されるまでに時間がかかっている。そして非感染領域が一度感染されれば、その領域内は放置と同様になってしまっている。したがって隔離策は言ってみれば時間稼ぎに過ぎず、抜本的対策ではなかろう。

 しかし日本の場合は(理由はわからないが)事情が異なっている。目下のボトルネックは感染者用ベッド数だが、これは解決策が出ている。法律上、感染が確認されると入院措置を取らなければならないが、3月初旬には厚労省から「陽性が確認されても、無症状者や軽症者は原則自宅待機」と通達が出されている。ところが実際には無症状者や軽症者あるいは治療終了後の検査待機者などが大部分のベッドを占めているようだ。昨日今日あたりで、やっと、これらの人たちを別な施設に収容することが検討されだしたのは当然の動きである。したがって日本においてベッド数不足は起こりえない。むしろ最重要ボトルネックを解消すれば、次のボトルネックが出現するのが一般論だ。それは医療従事者不足と来日者対策ではなかろうか。

 さて、社会距離戦略がこれからの日本に適切であることがわかったが、具体的に個々人がどうすればいいのかを考えなければならない。そのためには感染という疫学的見地だけではなく、社会システムの中で考察することが重要だろう。それはまた次回に。

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