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正しく恐れる(5)2020年04月07日 21:16

<はじめての方は(1)から順にお読みください>

 新型コロナウィルスによる被害を極力くい止めるためのゴール「感染による死亡者を最小化する」ために必要なことを整理しよう。そのための課題は「いかにして要治療者が円滑に治療を受けられるか」である。
※ 以下、ここでいう軽症とは、適切な薬などを活用しながらも自力で治せる程度のこと。ひどい風邪程度といわれている。(医療関係者の定義と必ずしも一致しない。)

 まず誤解を恐れず述べれば『感染を怖れない』。今回のウィルスは、感染したら必ず死亡するようなウィルスではない。感染者の8割程度は軽症か無症状といわれている。軽症か無症状のまま完治すれば免疫をもつことになり、感染拡大をくい止める一員になる。また万が一、症状が重くなった場合には医療機関で治療すればよい。(そのためにも医療機関のキャパシティを空けておかなければならない。)もちろん基礎疾患をもつ高齢者や乳幼児はこの限りではない。
 そして感染を疑うような体調不良を少しでも感じたら、まずは自宅などで様子をみる。責任感や不安などで外出してはいけない。できれば病院にも行かない。とりあえず常備薬ですませて、よく眠る。重症化するようであれば、はじめてウィルス外来などのお世話になればよい。

 これも誤解を恐れず述べるが『安易にPCR検査などを受けない』。自分が感染しているのかいないのかわからない不安も理解できる。しかし(1)で述べたように、PCR検査は陽性ならば感染確定だけれど、陰性の場合は感染しているかどうかわからない。また現在の法律では、陽性判定が出れば、たとえ無症状でも軽症でも原則隔離しなければならないことになっている。この人たちがベッドを占有することでベッド数が不足し、本来治療を受けなければならい人のベッドを奪ってしまう。
 だから迂闊に検査を受けてはいけないのだ。時折、有名人が医療機関をいくつも回って検査を受けさせてくれと懇願してやっと受けられた、などというニュースを見聞する。これは誤った行動だ。味覚障害(これは軽症だ)が出たら「おや、コロナに罹っちまったか」と余裕を持とう。もちろん保菌者であることに変わりはないので、2週間程度は自宅などに閉じこもるのがよい。

 マスクをするのは、自分が感染しないためではない。自分は感染しているかどうかわからないから、万が一感染していても、他人に感染するのを防ぐためである。マスクは万能ではない。マスクをしていても公共の場で大声でしゃべるなどは避けたい。くしゃみもマスクの上からハンカチなどを当てたい。頻繁な手洗いや消毒、うがいなどは言わずもがな。

 万全の対策をした上で、なるべくなら普通の社会生活を心がけたい。(2)で述べたように、遺伝子なのかBCGワクチンなのか理由は不明だが、欧米諸国と比較すると日本の死亡者はかなり少ない。諸外国の悲惨な状況をそのまま日本に当てはめるのは根拠がないだろう。
 だからといって何をしてもいいわけではない。いわゆる3密(密閉・密集・密接)の状況には出かけないのは当然だが、しかし家に閉じこもっていれば社会が崩壊しかねない。適切に出かけて消費活動をすることは、社会システムを崩壊させないために重要なのだ。今のところ、政府が大型予算を組んで経済支援にあたることになっているが、それだって税金であり、赤字国債を増やすことになるのだ。今回のウィルス騒動はある意味で自然災害だから、ある程度の財政悪化は仕方ないかもしれない。しかし、そのツケは若者たちに回されることになる。動ける人々が無理のない範囲で、少しでも普通の社会生活を送ることが、社会システム維持には必要なのだ。

 リスクを恐れてパフォーマンスを落とすのはリスク管理ではない。リスクに重みをつけて合理的に回避しながらパフォーマンスを維持することが正しいリスク管理だ。
 冷静になって考えてほしい。無症状や軽症の感染者が増えて、どれほどの問題があるのだろうか。重症化した際に安心して医療機関で治療できて完治できるなら怖くはなかろう。無症状の感染者が、自分でもそれとは気づかず出歩いて他人にうつすかもしれない。それでもまた8割程度は無症状か軽症なのだ。注意するとすれば、基礎疾患をもつ高齢者や乳幼児に感染させないことくらいだろう。
 
 経済へのダメージを最小化しつつ、死亡者を最小にする・・・これを実現するためには、ゆっくりと感染拡大していくことが現実的なのだ。

※ 以上、日本における現状をベースにした考察であり、諸外国が同様に考えられると主張するつもりは毛頭ない。 

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