ビジネス・コンサルタントを名乗る理由 ― 2018年06月02日 23:50
「経営」と一言でいわれることが多いが、経営には2つの機能がある。ひとつは「事業経営」であり、他方は「組織経営」である。
事業経営は、事業それ自体を対象としている。どのような事業をおこなうか、どのようなビジネスモデルでおこなうか、競争優位性をどこにもつか、複数事業間のシナジーをどのように発揮できるか、などであり、いわば戦略の領域である。わかりやすく言えば売上の根幹をなす部分である。
他方の組織経営は、組織と経営資源とを対象としている。どのような組織を組むのか、そこへの人員と資金の配分をどのようにするのか、目標達成のためにどのような計画でいくのか、計画通りに進捗しているのか、などであり、いわば管理の領域であり、効率化が求められる部分である。
わが国の高度成長期においては、キャッチアップ経済(欧米の先進企業に追いつき追い越せをスローガンに発展した経済)が長かった。これはすなわち、発展の方向性は欧米の先進企業が示していているため、それらをいかに効率よく実現するかが問われる。勤勉な国民性の結果として、高品質で安価な製品が世界中に普及したといってよかろう。この時代においては、事業経営よりも組織経営が重視されたのも当然である。
ところが先頭集団に追いついてしまうと、自分たちで新しい道を切り拓かなければならない。同時にICT技術の急激な進展とともに新しいビジネスモデルが次々と登場する。つまり事業経営を重視しなければならない時代に(とっくの昔に)突入している。しかし多くは、それを発想したり意思決定するトレーニングを充分に積んでいないのが実情だろう。
そこに戦略コンサルタントの出番があるわけだが、もともと事業経営と組織経営とは独立していない。経営資源を無視した戦略は絵空事に過ぎない。充分に資金がある大企業の場合、人員やノウハウなどはM&Aなどで入手することも可能だが、組織文化の違いからうまくいっていない例も少なくない。つまり事業経営といえども組織経営を無視して進めることはできないのだ。
一方、経営コンサルタントという肩書きもよく見かける。経営を辞書で引けば management という単語が出てくるが、わが国においてマネジメントという言葉は、組織経営のニュアンスが強い。これは先に述べたキャッチアップ時代の名残だろうと思う。余談だが、人事部長というポストが社長昇進への出世コースだという企業は、まさにこの観点だろう。時代が混迷化を深めるとともに、事業経営を担う経営者も見かけるようになったが、まだまだの感がある。
以上のように考えて、戦略コンサルタントでも経営コンサルタントでもなく、ビジネス・コンサルタントを名乗ることにした。ビジネスというのは関心事である(木枯らし紋次郎の有名なセリフ「あっしには関わりのなことでござんす」は英訳すると「 It's no my business 」だそうだ)。クライアント様の関心事は、ときとして事業経営かもしれないし、ときとして組織経営かもしれない。だからビジネス・コンサルタントというわけだ。