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正しく恐れる(2)2020年03月31日 06:29

 前に書いたように(こちら)、感染者数を把握することは原理的に難しい。しかも日本の場合、検査対象は「感染が疑われる者」なので、偽陰性を含む全数を推測することは困難だ。この検査結果を、ドライブスルー方式などで検査している諸外国の結果と比較することに意味はない。

 そこで問題になるのは『拡大していくようすを、どのような指標でとらえればいいか』である。もっとも精度高く把握しやすいのは(新型コロナウィルスによる)死亡者数ではないかと考えられる。もちろん検査されずに死亡してカウントされない可能性はある。そこで厚生労働省「日本の1日」を見てみると、死亡原因は癌、心疾患、脳疾患などが多いため、重症な肺炎症状があれば新型コロナウィルスが疑われるだろう。したがって多少の誤差はあったとしても死亡者数で管理するほうが、感染者数よりも実態を正確に把握できそうだ。

 では日本における死亡者数はどのような状況なのだろうか。札幌医科大学が作成した資料(こちら)が興味深い。日本だけでなく諸外国を対象に、人口100万人あたりの死亡者数の推移がグラフ化されている。これを一見すると、世界的には急激に死亡者数が増加していることがわかる。しかし詳細に見ていくと、いくつかの特徴が浮かび上がってくる。
 急激に増加している諸国(イタリア、スペイン、フランス、アメリカなど)では、立ち上がり時期こそ異なるけれど、一週間ごとに概ね8~10倍前後という爆発的な増加を示している。国ごとに事情は異なるだろうが、ほぼ同じ増加率(グラフではほぼ平行)であることは示唆的である。また最近になって死亡者が出始めた諸国(ブラジル、アルゼンチン、トルコなど)でも同様の傾向が見て取れる。グラフが水平に(中国のように)なれば新たな死亡者がいなくなるため終息といっていいが、以上の諸国ではまだまだ先のことだろう。
 一方、これらとは異なる推移を示す国も存在する。日本や韓国などは、まだ増加はしているものの、一週間で多くても2倍である。上述の爆発的増加の諸国と比較すると、明らかに増加は緩やかだ。この違いは、医療マネジメントにあるのか、それとも遺伝子的要因なのか、あるいはBCGワクチンの影響なのか、研究成果が待たれるところだ。グラフはなだらかになりつつあるようにうかがえるので、近い将来には、爆発的増加の諸国よりもはるかに少ない死亡者数で終息することが期待できよう。

◆以上のまとめ
・感染者数で現状をみていくのは無理がある。死亡者数で状況判断するのが現実的だ。
・マスコミ等で報道される諸外国の悲惨な状況を日本の未来像として考えるのは根拠がない。したがって、いたずらに不安がる必要はない(だからといって楽観的でいいと言っているわけではない)。
 

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