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~ 不確実な時代に、確かな基軸をもつ経営をおこなうために ~

【レポート】各務原ビジネススクール2019年07月30日 14:18

各務原商工会議所が実施した2019年度ビジネススクール事業の報告。
2019年6月11日(火)〜7月10日(水)中、全5回《すべて10時–16時》。

問題意識
  中部地方は自動車産業をはじめ、航空機産業や工作機器産業などの大手メーカーが多いため、岐阜県各務原市周辺地域においても中規模製造業(小規模ではない中小製造業)が多く存在する。その大部分は2代目、3代目に事業承継されているが、「モノづくり」としての技術技能やカイゼン等のノウハウは重視されるものの、戦略構築や管理会計等の高度な経営技法は修得機会が少ないのが現状である。
  また国の政策として小規模事業者(製造業なら雇用20人以下)には、おもに商工会議所等を通じた手厚い支援策が講じられているし、大企業ならば自己資金でさまざまな社内研修や幹部育成策をおこなえるが、その狭間である中規模企業には十分な支援が施されているとは言い難い。税収や雇用確保等、地域経済の重要な位置を占めているだけに、放置することは危険ですらある。
  そこで岐阜県の予算を用いて、中規模製造業の経営者や幹部候補者に対して高度な経営技法を修得する機会を提供するものである。


ビジネススクール【中小製造業の成長発展に必要な経営思考法を学ぶ
§1  これからの経営環境概観  :  中小製造業を取り巻く外部環境変化や内部環境変化を概観し、どのようなことに取り組んでいかなければならないかを明確にした。とくに付加価値分析において有名なスマイルカーブ(企画設計⇨調達⇨製造加工⇨販売⇨メンテナンスという一連のプロセスの両端が付加価値が高く、製造加工は付加価値が低い状況を図示したもの)を紹介した際、驚きの表情を見せた受講者が数名いたことが印象的である。また人材確保において前橋の中小製造業の取組みを紹介したり、IoTの取組み事例を紹介するなど、従来の考え方の延長では未来を切り拓くことは難しいことを強調した。

§2  問題発見法・解決法  :  経営技法でもっとも重要なポイントのひとつは『何を経営問題として正しく認識するか』であるといっても過言ではなかろう。しかし、そのための学習は学校教育や社会人教育では施されていないのも現状である。そこで問題を正しく認識する方法や、経営課題を抽出する方法について解説した。

§3  企業会計  :  財務会計と管理会計の基礎について解説した。財務会計においては、さまざまな利益概念とキャッシュフロー、資金調達の方法と返済方法を取り扱った。管理会計においては、まず収益構造の把握方法を説明し、演習事例としてトヨタ、デンソー、ファナック等の大企業の(連結)決算データから収益構造を把握して付加価値の相違を論じた。次に原価管理、設備投資判断などの基本を解説した。

§4  経営戦略とマーケティング  :  経営戦略構築の基本的な考え方、古典的マーケティング論および現代マーケティングについて解説した。とくにルート営業から脱却し提案営業に転換するためにコミュニケーション原理に基づいてコンテクスト(文脈)を理解することが重要であることを強調。さらに他業種を開拓する方法などについて詳しく説明した。

§5  デジタル技術の経営活用  :  まず情報の階層性(Data⇨Information⇨Intelligence)について解説し、いろいろな状況でどのレベルの活用が必要なのかを説明した。次にポーターのValueChainを説明して、そこに具体的なデジタル技術活用可能性を示した。

§6  意思決定法の基礎  :  問題発見法と同様、重要であるのに学習機会のないテーマである「合理的な意思決定」について解説し、簡単な演習をおこなった。とくに事実前提だけではなく、価値前提が重要であることを強調。また、確実性下、リスク下、不確実性下、競争下ごとで意思決定技法が異なることを丁寧に解説した。

§7  リーダシップと人材育成  :  リーダシップといえば対人関係性に終始しがちだが、まずはビジョン提示力が重要であることを解説し、いくつかのリーダーシップタイプとその特徴について説明した。また人材育成においては、その原理として野中郁次郎氏が提唱する知識創造ループを解説し、属人的である技能をいかに組織的技能に転換するかを説明した。

所感
  ひじょうに高度な内容ながら、受講者は意欲的に取り組んだ。多くの事項を学んだだけではなく、さまざまな局面で気付きがあったようだ。
  大部分の受講者は中規模製造業の経営者あるいは幹部候補者でありながら、ザ・ゴール(ゴールドラット著)の存在すら知らなかった。まさに「井の中の蛙」である。これはけっして各務原だけではなかろう。このような高度な経営技法の学習機会提供は、もっと拡大しなければならないし、また継続していく必要があると思われる。