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【経営指導員向け】補助金申請にあたってどこまで手伝うべきか2019年04月14日 23:18

<FB の Bussiness グループに2019年4月9日投稿された記事に対するコメントの総括>

1.議論が浅い、というよりも議論にならないのは、「自分はこうしています」「自分はこう思っています」式の、いわば報告が大半だからだ。これだと他人のコメントを読んでも「ああ、そうですか。自分の意見は違うんだよね」で終わってしまって、そこには何の進展もない。
 この件は、個人の価値観による相違が許容される範囲にはない。国の施策としての小規模事業者支援なのだから、本来は全国どこの地域においても同等のサービスが提供されなければならない。もちろん現状は同等どころかバラバラだ。だからこそ、目指すべき提供内容について議論することで擦り合わせることが重要なのだ。

2.(以下は小規模事業者持続化補助金を対象とする。) 上述のためには、まず共通認識として大前提(つまり制約条件)を明確にしておかなければならない。
前提1>「補助金申請は事業者がみずから行なう。」 これはアタリマエだ。いま問題となっているのは、この原則を押し通すのか、それとも手伝うのか(手伝うとすれば、どの部分を手伝うべきなのか)である。
前提2>「小規模事業者が商工会議所と一体となって経営計画を作成」(中小企業庁による説明https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/2018/181221yosan09.pdf)とある。ここで誤解しやすいのは「経営計画」と「経営計画書」の混同だ。「経営計画」は、いわば経営の作戦であって、それを文書化したものが「経営計画書」である。つまり中小企業庁は「小規模事業者は商工会議所と一緒になって作戦を立案しなさい」と言っている。その理由としては「小規模事業者は資金、人材、商品開発力などの経営資源の制約」があるからだ(小規模企業振興計画第Ⅱ期案 https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/syoukibokihon/2018/download/181220syoukiboKihon04.pdf)。
(これらの経営資源に「時間」を加えてもいいと私は考えている。) もちろん実効性ある作戦立案のためには分析(市場分析やSWOT分析など)も必要だが、そのようなスキルも小規模事業者にとっては経営資源の制約となろう。だから商工会議所は、不足している経営資源を補完しなければならない。これが「一体となって」の内容だと考えられる。(商工会議所にあっては、もし経営指導員にそこまでのスキルが不足しているならば専門家を活用することも可能である。)
前提3>「申請書作成は、経営計画立案と文書作成という二つののプロセスから構成されている。」 前者「立案」については上述したとおり。FBに投稿された記事は(教義には)後者「文書作成」をどうするか、であろう。

3. (この段は私の主張である。)「文書作成」にあっては、事業者みずからが書くことは原則であるが、この部分について中小企業庁は何も言っていない。そこで次の二つの前提を加えよう。
付加前提4>「申請書は採択を意図して作成される。」
付加前提5>「中核技術を強化し発揮させることが経営の原則である。」
(小規模事業者が商工会議所と一体となって作成した経営計画を理解していることは当然であるが)その意図を訴求力ある文書として表現できるかどうかは別問題だ。審査は文書のみで行なわれるのだから、どんなに実効性ある経営計画を考えていても、それをきちんと文書化して審査員に伝えなければ採択は難しい。これは熱意の問題ではない。熱意はあって当然だが、論理的に説得できるかどうかなのだ。
そこで判断基準として「文書作成」が申請事業所の「中核技術」(ここでいう技術はテクノロジーだけではなくノウハウも含む)かどうか、を取り上げたい。文書作成が中核技術であるなら自分で書くべきだが、中核技術ではないのならアウトソースした方が効率的だ。夜寝ないで不得手な文書を考えているくらいなら、代わりに書いてあげるから、その時間はもっと魅力的な日替わりランチでも考えていてくれ、というのが私のスタンスだ。ただでさえ経営資源に制約がある小規模事業者には、もっと売上に直結する部分を強化していただきたい。

4. 以上から、代表的パターンをまとめておこう。
補助金でトイレを改修したいから適当に書いてくれ」という事業者には、きちんと趣旨を説明して経営計画立案を説得する。説得できない場合は支援の対象にならない。納得してくれた場合には、さまざまな分析を行なって一緒に計画立案する。
危機感はもっていて何とかしたいが具体策がない」という事業者には、分析から計画立案を一緒に行なう。
具体的な計画を考えている」事業者には、その実効性や実現性をチェックして必要なアドバイスを行なう。場合によっては市場分析など、計画の実効性を示す材料を提供する。極端な場合として、その計画に実効性がないこともあり得る。そのときは実効性に無理があるという材料を示して、別な計画立案をおこなう。


5.いずれにしても文書作成は上述したように考える。文書化を代行する場合でも、一緒に立案した計画をメモ書きして提出してもらうなど行なえばいいと思われる。できればワークシートを用意して記入してもらえば事業者にとっても商工会議所にとってもわかりやすい。ちなみに文書が不得手な事業者に下書きを作成してもらって手直しするのは、あまり効率のいい方法とは言いがたい。

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