COVID-19 東京都の状況分析 20200405 ― 2020年04月05日 23:57
このところの東京都知事発表は、陽性判定者が1日で100人を超えたとか、累積で1000人を超えたとかで、緊急事態宣言を迫るなど不安を募らせる発言が目立つ。はたして真実なのだろうかと疑問を感じて、少し分析してみることにした。
そもそもネットワーク型の感染において拡大状況をより正確に把握しようとするなら、何人とか何桁とかにさほどの意味はない。拡大率で考えるのが、この分野の常識だ。たとえば拡大率が2/w(一週間で2倍)だとすれば、二週間で4倍、三週間で8倍・・・と増加していく。これが1.2/wならば、二週間で1.4倍、三週間で2.7倍・・・と増加速度は遅くなる。拡大率が0.8/wなら、二週間で0.6倍、三週間で0.5倍と感染者は減少して終息に向かっていく。
東京都が公表しているデータによれば、一週間ごとの陽性判定者は次のようになる。(木曜日で締めているのは後述の検査数データの都合)
2/28 - 3/ 5 16
3/ 6 - 3/12 23 対前週 1.44
3/13 - 3/19 43 対前週 1.87
3/20 - 3/26 141 対前週 3.29
3/27 - 4/ 2 425 対前週 3.01
これをグラフにしたのが次である。
ところで潜在感染者の存在を考慮すれば、検査数を増やせば陽性判定者も増加するだろう。そこで検査数を調べて、判定率(=陽性判定者/検査数)を算出すると次のようである。
2/28 - 3/ 5 検査数 401 判定率 0.08
3/ 6 - 3/12 検査数 456 判定率 0.05
3/13 - 3/19 検査数 373 判定率 0.14
3/20 - 3/26 検査数 371 判定率 0.32
3/27 - 4/ 2 検査数 1537 判定率 0.30
判定率は一検査当たりの陽性判定数であるから、これらの拡大率(倍率)をグラフにすると次のようになる。
以上のデータからは 3/20 - 3/26 が最悪の状況のように見えるが、これらのデータだけから「拡大のピークは越えた」と判断するのは早計だ。今後数週間の動向を見守る必要があろう。
重要なことは、100人とか1000人とかの数字に踊らされず、適切な指標で考えることだ。