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~ 不確実な時代に、確かな基軸をもつ経営をおこなうために ~

続・もっとコンテクスト(文脈)を!2018年05月08日 00:51

ある会社で二人の社員さんが顧客からのクレーム電話に対応していた。
Aさんはメモを取りながら、丁寧な口調で顧客の言い分を聞いている。一方でBさんは回覧された文書に目を通しながら、適当に相づちを打っている。この二人の違いは何だろうか?

おそらくAさんは『顧客クレームは改善のヒントになるから重要だ。』と考えているのだろう。おそらくBさんは『この忙しいときに迷惑な電話だ。』と考えているのだろう。
同じ顧客クレーム(コンテンツ)だったとしても、その受け止め方にはこのように違いが起こる。それは二人にとってクレームのもつ意味コンテクスト)が違うからだ。それは二人のクレームに対する価値観の違いから発生しているのは明らかだろう。

これは会社にとって大問題だ。クレームがあったというコンテンツは共有されても、その意味づけが異なっていれば(つまりコンテクストが共有されていなければ)、その後の二人の行動に違いが出るからだ。おそらくAさんは、早速、関係部署に連絡して改善策を考えるだろう。一方Bさんは電話を切ると、さっさと中断していた仕事を再開するだろう。

では、どのようにすればコンテクストを共有化できるのか。それは「価値観の共有」である。わかりやすく言えば「わが社にとって何が重要なのか」を共有することだ。

従来は、(好むと好まざると関係なくおこなわれた)呑みニュケーションだとか社内旅行や運動会といった、一見無駄とも思えるような団体行動の中で培われてきた。難しい言葉で言えば「共同化による暗黙知の伝達」である。しかし時代は変わった。このように悠長な手法をとらずに、明示的に伝達していくことが必要だ。『クレームは丁寧に応対せよ。必ずメモを取って、関係部署に連絡し、改善策をレポートせよ』とルール化して周知徹底を図る必要があろう。

ところで、「構成員に共有化された価値観」というのは「組織文化」のことだ。好ましい組織文化というのは、自然発生的に生まれるのではなく、強い意志をもって形成される。それは経営者の最大の業務の一つである。